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MS_AzureExpressRoute

nishi_74322014 edited this page Aug 19, 2026 · 1 revision

Azure ExpressRoute

概要

補足(この注意書きが親切): Azure で「ピアリング」という語は
少なくとも 3 つの別物を指すため、非常に紛らわしい。

用語 何と何を繋ぐか
ExpressRoute の Private Peering オンプレ ⇔ Azure VNET(本ページ)
ExpressRoute の Microsoft Peering オンプレ ⇔ Microsoft の SaaS(本ページ)
VNET ピアリング Azure VNET ⇔ Azure VNETAzureの仮想ネットワーク ピアリング
(BGP の)ピアリング ルータ同士の隣接関係(一般用語)

ExpressRoute の「Peering」は
**BGP のピアリング(経路情報の交換)**に由来する用語であり、
VNET ピアリングとは無関係である。

詳細

特徴

  • 既設の DC が Express Route に対応していれば、追加費用は比較的少ない。
  • 盗聴の可能性は低いので、暗号化はされない(VPN との併用は可能だが非推奨)。

補足(暗号化されない点は要確認事項): 「専用線だから安全」という
前提に立った設計だが、要件によっては問題になる

  • 監査・規制要件で**「経路上の暗号化」が明示的に求められる**場合、
    ExpressRoute 単体では要件を満たせない。
  • キャリアの設備内を通るため、
    物理的に「誰も触れない」わけではない

対処としては、

手段 内容
アプリケーション層で暗号化 TLS(HTTPS、TDS over TLS 等)。最も現実的
ExpressRoute + VPN IPsec を重ねる。本文が「非推奨」とするのは帯域が VPN GW の上限に制限されるため
MACsec(ExpressRoute Direct) L2 で暗号化。ExpressRoute Direct 契約が必要

通常は TLS で十分であり、
それが本文の「暗号化のために専用線を使う必要はない」
(後掲の「要件の再確認」)という主張とも整合する。

接続方法

  • パブリック・インターネットを経由しない。
  • Express Route に対応した DC 経由で接続する。
    • Azure ⇔ DC までが Express Route で、
    • DC ⇔ オンプレまでが専用線接続サービス。

補足(この 2 区間の分離が費用と品質を決める): ExpressRoute の
全体像を図にすると次のようになる。

オンプレ拠点 ══[① 専用線接続サービス]══ 接続 DC(ピアリング拠点)
                                           ║
                                      [② ExpressRoute 回線]
                                           ║
                                      Microsoft のエッジ ── Azure リージョン
区間 誰と契約するか 費用
① オンプレ ⇔ DC キャリア/接続プロバイダ ここが支配的
② DC ⇔ Microsoft Microsoft(ExpressRoute 回線) 帯域とプラン次第

本文が「既設の DC が対応していれば追加費用は比較的少ない」と言うのは、
既にその DC に回線を引いているなら ① が不要だからである。
逆に、ゼロから引く場合は ① が期間・費用ともに支配的になる
開通まで数か月かかることもある)。

なお、可用性の観点では
ExpressRoute 回線は既定で冗長化されている(2 本のペア)が、
① の区間は自分で冗長化しないと単一障害点になる
ここも見落とされやすい。

2つのタイプ

Private Peering

VNET(プライベート IP)に対する接続(オンプレ延伸)。

Microsoft Peering

  • 以下の SaaS のパブリック IP へ(、L4 NAT ルータのプライベート IP 経由で)、接続も可能。
  • 構築時のポイント
    • L4 NAT ルータで、プライベート IP → パブリック IP へ変換する。
    • 接続先 SaaS はマルチテナントなので、
      L7 プロキシを使用して、自テナントへのアクセスのみに制限するなど。
  • 参考

補足(2 つの Peering の決定的な違い): 名前が似ているが、
扱う IP アドレスの種類が違うという点が本質である。

Private Peering Microsoft Peering
接続先 VNET(自分のリソース) Microsoft の SaaS(共有リソース)
IP プライベート IP パブリック IP
NAT 不要 必要(L4 NAT ルータ)
経路広告 VNET のアドレス空間 Microsoft の全パブリック プレフィックス(膨大)
利用承認 不要 必要(SaaS による)
主な用途 Azure 上の自社システム Microsoft 365

Microsoft Peering で NAT が必要なのは、
接続先がパブリック IP だからである。
オンプレのプライベート IP のままでは
パブリック IP のサービスに到達できない。

また、Microsoft が広告する経路が非常に多いため、
オンプレ側のルータの経路数上限に当たることがある。
ルート フィルターで必要なサービス(Office 365 の
特定コミュニティ等)に絞るのが定石である。

なお、Microsoft 365 について Microsoft は
**「ExpressRoute より通常のインターネット接続を推奨する」**という
立場を取っている(経路が最適化されるため)。
本文が代替として Azure Peering Service
挙げているのはこの流れに沿っている。

代替サービス

  • Private Peeringの代替サービス
  • 専用線は慣例で、実は不要なケースが多い。
    • 盗聴対策としては暗号化で十分
    • 帯域も DC までの専用線接続サービス部分で問題が起きやすい。
    • 以下の検討を行う。
      • インターネットの主要幹線の近くで接続するようにする。
      • ローカル-WAN に、SD-WAN を活用するようにする。
    • 要件の再確認

移行メモ(体裁): 原典の「問題が起き安い」は
「問題が起きやすい」の誤変換であるため修正した。

  • Microsoft Peeringの代替サービス
  • いくらか違いがあるので用途に合わせて使い分ける。

要件の再確認

インターネットを使わない

  • 意味
    • パブリック IP を使わない。
    • 特定できない経路を通らない。
  • 検討項目
    • パブリック IP を使わないと構成できないケースや、
      パブリック IP を使っても、セキュアに構成できるケース等がある。
    • 従って、重要なのは、
      危険性の高い不特定ネットワークを通る通信、
      特に下位 IX (Internet eXchange) を通るような通信
      を避けるように経路を構成すること。

専用線で接続する

  • 意味
    • 機密性(安全性)を確保したい。
    • 通信の安定性を確保したい。
  • 検討項目
    • 機密性(安全性)は暗号化通信により確保できるため、
      機密性確保のために専用線を使う必要はない。
    • 通信の安定性は、確かに専用線(ER)では確保し易いが、
      Azure Peering Serviceであっても回線契約を
      太くすれば十分な帯域と安定性が安価に確保できる。

閉域接続する

  • 意味
    • 必要ないところに経路上出ていけないようにする。
    • 接続先を特定のサービスに限定する。
  • 検討項目
    Microsoft Peeringの先で他のテナントにも接続できるため、
    プロキシによる FQDN 絞り込みや AzAD テナント制限が必要になる。

補足(この「要件の再確認」が本ページの白眉): 3 つの要望を
「言葉」ではなく「意味」に分解して、
それぞれに適した手段を当てる
という進め方は、
非機能要件を扱ううえで極めて有効である。

整理すると次のようになる。

言われる要望 本当に守りたいもの 適した手段
「インターネットを使わない」 不特定の経路を通らせない 経路の設計(ER / Peering Service)。パブリック IP の有無は本質ではない
「専用線で接続する」 機密性 暗号化(TLS / IPsec)。専用線は不要
同上 安定性 帯域の確保。ER でも Peering Service でも可
「閉域接続する」 接続先の限定 経路制御では不十分。プロキシの FQDN 制限、テナント制限が要る

特に重要なのは 3 つ目で、
「閉域にしたから安全」は成り立たないという指摘である。
Microsoft Peering の先はマルチテナントの SaaS であり、
経路を閉じても他社テナントには到達できてしまう
Azure Peering Serviceの補足も参照)。

「専用線を引く」という要望の背後にあるのが
機密性なのか、安定性なのか、経路の特定なのかを切り分ければ、
もっと安く・速く満たせる手段が見つかることが多い
ExpressRoute は開通に数か月・費用も大きいため、
この確認を最初に行う価値は非常に高い。

参考


Tags: 移行, インフラストラクチャ, クラウド, セキュリティ, 通信技術, Azure

NetDevInfraWiki

マイクロソフト系技術情報 Wiki
Open 棟梁 Wiki

(未着手)

開発基盤部会 Wiki

移行管理: DONETODO

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